読書感想文


エンデュミオン エンデュミオン
平谷美樹著
ハルキノベルス
2000年6月8日第1刷
定価1390円

 21世紀初頭、月基地エンデュミオンで少女の幻覚を見る者が続出する。アメリカの片田舎では月の少女と交信する少年ヤンの命を狙う者が続出する。月にはアメリカの田舎町の幻が現れ、ヤンの住む町は吹雪と竜巻に襲われ、月のクレーターそっくりの光景が残った。少女は月の神なのか。月の神とヤンの関係は……。そして、ヤンが月ですべき使命とは……。
 月の神とヤンの関係をストーリーの軸とするのか、月の神と基地の研究者との葛藤を軸とするのか、どちらかを主にしてほしかった。その方がテーマをはっきりと打ち出せたはずだ。また、結局月の神とは何だったのか、ユングの集合無意識を持ち出してきてはいるが、それでは神の解明にはいたらず、なんとなくぼかしたまま終わってしまっている。
 「神」の概念を扱うのは面白いが、難しい。このストーリーであればSFにする必要はなく、初めから異世界ファンタジーにするべきだったかもしれない。SFタームがとびかうと、どうしても「神」のSF的説明を期待してしまう。ファンタジーと割り切ればまた別な読み方ができるのだ。書きたいことはよくわかるので、それをより効果的に表現できる題材を選んでほしかった。

(2000年7月28日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る