読書感想文


妖獣都市 魔獣児
闇ガードシリーズ
菊地秀行著
トクマノベルズ
2000年6月30日第1刷
定価800円

 シリーズ久々の新刊。
 闇ガード蒼樹冬樹は子ども二人を八ヶ岳まで無事連れていくよう依頼を受ける。この子供たちは伝説の闇ガードといわれた夫婦の子どもで、計り知れない潜在能力を持っている。狙うは〈向こう側〉の妖魔たち。3ヶ所で車を降り、10分間出ていなければならないというルールが決まっている。普通の人間の姿に身を隠して襲ってくる魔獣たち。妹の涼子はさらわれ、瀕死の重傷を負う。兄の直也と冬樹は無事に涼子とともに八ヶ岳に着くことができるのだろうか。
 作者にはめずらしてゲーム的展開。途中で戦う場所が決められていたり、隠しアイテムを探したりしながらゴールを目指す。ロードムービーの趣もある。また、最近の菊地作品には珍しく主人公がどんなピンチも簡単に切り抜けるスーパーマンでないことで面白さが増している。
 兄の直也は生意気な設定であるのだが、もう少し小憎らしければいうことないのだが。なんにせよ、初期の菊地秀行に戻ったような雰囲気があって、かえって新鮮でよい。

(2000年7月30日読了)


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