終戦直後の大阪が舞台。大阪造兵廠跡地に埋もれているスクラップを違法に掘り出し金に換え、どん底の中から生き抜いていく集団がいた。「アパッチ族」と呼ばれる彼らの仲間に新たに加わったフクスケは、最初はその生き方に戸惑うが集団のルールを憶えアパッチの一員として、よい屑鉄を探し出す方法や官憲から逃れる方法を会得していく。業を煮やした警察はあの手この手でアパッチたちを追いつめ、アパッチの指導者たちもまたそこをくぐり抜けていく。しかし、情勢はアパッチに厳しく、ついに脱落者が出始め……。
大阪アパッチの凄まじいまでの生への執着、活力、無秩序の中の秩序などをたたみかけるような筆致で読み手に叩きつけてくる。
結局アパッチは警察権力に敗北しその地を去っていくことになるのだが、彼らは命ある限りなにがなんでも「生」にかじりついていくだろう。戦後混乱期の最下層の人々の迫力とどことないおかしみ、そして哀しみ、全てを呑み込むように立ちはだかる現実という強大な壁……。
圧倒的な迫力で読ませる焼跡派文学の傑作である。
(2000年8月20日読了)