「天皇制」「日の丸・君が代」などについて、右翼の論客が自由自在に論じた画期的な本。若い頃はテロ行為も辞さなかったという著者がその過去を反省しながら、上記の問題をタブーにしないで自由に論じるべきだと説く。現実を見すえ、観念的なものの見方をしないようにし、オープンに議論すべきだと主張する。その結果、国民の大多数が「天皇制」「日の丸・君が代」を否定しても、それはやむを得ないとさえ書く。実は、それを新聞のコメントとして明言したため、著者は自分が代表をしていた団体を辞めざるを得なくなったそうだ。
タイトルにあるように、実は言論は不自由なのではないかと著者は疑問を持ち、タブーのない議論ができるようにすべきだと主張するのだ。そこには、イデオロギーが有効な手段となり得なくなった現在、議論を通じて理想の世の中を作りたいという著者の思いが込められている。
たとえ、「天皇制」「日の丸・君が代」に対する考え方が著者とは違っても、そのようなことを越えた普遍的な主張に納得させられる。軽いタッチのエッセイとして書かれているが、扱われている内容は、重い。憲法に保証されている「言論の自由」について考えるときの重要な文献として、本書の果たす役割はこれからどんどん大きくなるのではないだろうか。
(2000年10月10日読了)