〈鬼〉をテーマにした小説を依頼された作家の〈私〉は、その題材に困り、友人から見せられた「鬼車」の異名を持つ揚羽蝶の写真をヒントに、作家の友人であるイケちゃんと京都北部の大江山へ取材旅行に出かける。〈私〉が大江山で見聞したことは、果たして小説のヒントになるのか。
作者本人をモデルにした主人公とおそらく霜島ケイさんをモデルにした友人との掛け合いが主で、「うわさの神仏」番外編というかんじのエッセイ風の小説になっている。それはそれで読んでいて楽しいのだけれど、これを小説としてまともに論じるのは難しい。虚実ないまぜになった部分のどこまでが虚でどこまでが実かを想像してみたりと、気楽に読むのが正しい読み方なんでしょうね、これは。
(2000年12月3日読了)