舞台は平安時代の京都。陰陽寮の頭、弓削是雄は、屋敷に侵入した魔物によって5つの生首を夢に見せられる。そして、翌日、そのなかの一人の死体を見聞して顎然とする。その死体は首だけを残して体を破裂させていたからだ。是雄が夢に見た生首の本人たちが連続して殺害されるに至って、彼は陰陽寮の仲間たちとともに、その魔物を見つけて殺戮を止めようとする。天皇崩御にともなう政変劇が背後にあることをつかんだ是雄が発見した魔物の正体とは。魔物が殺戮をくり返す理由は……。
弓削是雄を主人公にしたシリーズの一冊らしいが、著者略歴のところにでも、このシリーズの他の作品の名前を紹介しておいてくれた方が親切というものだろう。いきなり髑髏鬼などというものが主人公の味方として何の説明もなく登場すれば、私のようにシリーズの他のものを読んでいないものには戸惑いが残る。
鬼の正体など、政治的な背景で闇に葬られるものの悲哀を描いていて、なかなか面白い。ただ、陰陽師としての術の使い方など、枚数の関係もあるのだろうが、割とあっさりと描かれていて、アクション的な面白さはあまりない。それよりも、シリーズの一環として登場人物たちの掛け合いの面白さを狙っている傾向が強く、単発ものとして読んだ場合、おもしろさが半減してしまう。ここはやはり、本書がシリーズものであることをどこかに明記しておいてほしかった。
(2000年12月9日読了)