読書感想文


寺尾常史
武田葉月著/梁川剛写真
双葉社
2000年9月20日第1刷
定価1400円

 37才にして再入幕を狙うベテラン力士、寺尾常史。
 本書は気鋭のスポーツライターがその日常を取材し、これまでの寺尾の歩みをたどり、その魅力を書き綴ったものである。また、本書の魅力は各ページに挿入されている写真にある。土俵での迫力のある表情。稽古場での泥と汗にまみれた姿。そして日常の茶目っ気たっぷりの素顔。どの写真にも寺尾の魅力があますところなくとらえられている。
 寺尾は男前である。若い頃はその容貌と全力を尽くす激しい突っ張りでファンを魅了し、ベテランとなった現在は、内面からにじみ出る人間的な魅力と若さを失わない取口でその人気を保っている。
 本書には、寺尾の努力と、そして自然体で相撲に臨む姿が活写されている。ノンフィクションとしてだけで読むのなら、もう少し鋭く深く突っ込んだ視点もほしくなるが、写真に写る寺尾の姿で、それは補われている。
 寺尾の魅力にふれるには格好の一冊である。

(2001年1月19日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る