第12回ファンタジア長編小説大賞準入選作。新人のデビュー作である。
3歳児用のワンピースに身を固め、手に大正琴を持って古賀メロディーを奏でながら現れる謎のマスクマン、彼こそが正義のヒーロー、カンフーファイターである。アンドロイドのバギー、関西大学の学生マリエの悪事を防ごうとカンフーファイターは颯爽と登場、そのマリエを助けようとする曽根崎警察署の刑事滝沢、マリエのライバル女子大生山崎と様々な人物が入り乱れ、物語は混乱の極みに。
ストーリーは二の次で、おかしな設定と細かなギャグを次々と投入し、ギャグが物語を形作るというタイプの小説である。ギャグに関しては、すべっているものも多々あるが、ところどころにツボを突くような秀逸なものもまじっていて、このタイプの小説としてはかなり笑わせる方だろう。
ただし、本書は長篇向けの小説ではない。これをえんえん300ページ近くも続けるとなると、どうしても息切れしてしまう。今後、このタイプの小説を作者が書き続けていくつもりならば、短編の連作という形式をとらなければきついのではないだろうか。先達には「唐獅子株式会社」の小林信彦がいる。その線を狙っていけば、面白い存在になるのでは、と思う。
ギャグセンスは悪くはない。ただ、まだこなれてないという印象が残る。そこは新人のデビュー作と割り引いて考えなければならないだろう。次作では短編集という形でこの作者のものを読んでみたいものだ。
(2001年2月24日読了)