「本」をめぐる現状を、書店、流通、版元、地方出版、編集者、図書館、書評、電子出版などいくつかの切り口から綿密な取材をもとに分析した力作。特に、新古書店やインターネット書店などの新しい動きをかなり重点的に書いていて、そこらあたりが興味深かった。が、マンガやマンガ喫茶にはほんのわずか触れているだけで著者の眼中にないらしく、ちょっと偏った見方をしてるなあと思うところもある。また、書評についても新聞や週刊誌の書評ばかりとりあげていて専門誌の片隅で細々と書評している私のような者からしたらちょっと不満は残る。
それでも、「出版」というものの危機的な状況はよくとらえてあり、教えられることが多く、「本」というものに関わっている者にとっても、また、「本」の好きな読者にとっても見逃せないトピックがかなりある。特に「本」の流通の問題点を知るには絶好の本ではないだろうか。
(2001年3月2日読了)