関西の人気放送作家による第2エッセイ集。
毎年自分の誕生日に出す鯛の鯛自身に似た小骨「タイのタイ」を律儀に残しておきスクラップブックに貼っていた母親の心情、死の直前までものを書き続けた作家川口松太郎への個人的な思い入れ、桂べかこ(現南光)とのたわい無い意地の張り合い、年々悪くなる放送作家の待遇に対する怒りなどを淡々とした筆致で書き綴る。
そこにあるのはいろいろなものへの思い入れ、そしてそれをあらわにすることへのはにかみ。
うまいなあと思う。自分を卑下しているようでちょっと見栄をはってみるところなんか、可愛いなあと思う。私もいずれはこういうように自分のことを書けるようになりたいなあと思う。自分がやってきたことに自信がないと書けないのだろうなあと思う。
私は私なりに自分のやっていることに少しは自信を持とう。ブライドを肥大させず、見てくれている人はいるのだと信じよう。そんな気持ちになる一冊である。
(2001年3月30日読了)