読書感想文


ドッグファイト
谷口裕貴著
徳間書店
2001年5月31日第1刷
定価1600円

 第2回日本SF新人賞受賞作。
 植民地惑星ピジョンに突如地球統合府の統治軍が現れ、精神感応で動くロボット〈ディザスター〉を操り、星を制圧する。〈ディザスター〉に対抗できるのはテレパシーによって〈犬飼い〉と心を通じあわせる犬たちのみ。〈犬飼い〉のユスは、幼なじみのクルーズやキューズたちの率いるパルチザンに協力し、統治軍と激しい戦いを繰り広げる。
 新人離れした迫力あるタッチに惹きつけられた。さらに、テレパスたちの心理描写を通じて訴えられる戦いの愚かさ、虚しさ、哀しさがストーリーを通じて無理なく表現されている。ここらあたりのテクニックはかなり書き込んでいないと身につかないものではないかと思われる。それだけに、これまで作者がどういった執筆活動をしてきたのかが、私としては知りたいところ。
 本書のメインとなるものはもちろん迫力のあるアクション場面である。しかし、それはSFだからこそなし得る舞台設定によって、アクションの向こうにある人間ドラマを展開しているので、奥行きのある作品に仕上がっている。ユスと犬たちの精神的な交流を通じて人間性とは何か、心が通じ合うとはどういうことなのかを実感させられる。
 豊かな力量を持った大型新人の登場である。これからどんな世界を構築していってくるのか。今から次作が楽しみ。

(2001年5月17日読了)


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