高校生、真山和志の隣に住む9才の少女、秋月カンナは世界の研究機関から協力依頼を受けるほどの天才。大人びた彼女が甘えられる存在は和志だけだった。和志が町で出会った謎の女性、蜻蛉はなぜか機関銃と通信機器を手渡す。通信機器で傍受した連絡は「地蟲を駆除する」という言葉。その現場で和志とカンナが見たものは無惨にも殺される男の姿であった。クラスメイトの涼子と香織に誘われて遊園地に遊びに行った二人だが、その翌日に彼らが知った衝撃の事件とは。和志に定められた使命とは。そして、「地蟲」の秘密は……。
愛するもの、親しい友と戦い殺し合わなければならない宿命を背負った少年の傷つきやすい心理をこれでもかこれでもかと描く、かなりえげつない物語である。作者のあとがきにもあるように、「痛み」を描いたもので、そのために必要以上に主人公を傷つけなければならないという読んでいても「痛い」作品だ。
〈地蟲〉という設定は現時点ではまだそれほど強い説得力をもつとは感じられなかったけれど、続編を書き進める間にどれだけこの設定に奥行きとリアリティを持たせられるかが本作品の成否の鍵を握っているといっていいだろう。そうでなければ〈地蟲〉を〈駆除〉する組織も薄っぺらいものになってしまうし、主人公の戦う意義も単なる善悪の戦いに終わってしまう恐れがある。そうなると作者の意図する「痛み」が読者に伝わらない恐れもあるだろう。そういう意味でも今後の展開に注目していきたい。
(2001年6月25日読了)