爆笑問題の太田光が漫才台本の形式で歴史上の事件を笑いのめす。そのギャグの冴えは歴史に対する鋭い視点とあいまって相変わらず快調。ただ、どうしてもその事件についての概要を説明しながらということになるので漫才としては若干テンポが悪くなっているのが残念。
なお、ネタの後にはライターの田中聡による解説が付されているが、この解説はわかりやすくかつ歴史の最新の解釈を盛り込んだ優れたもの。高校レベルの日本史の授業で副読本に使用してはどうだろうかと思うほどである。
歴史をイデオロギー的に語るのではなく、「笑い」といういったん突き放さなければならない手段を用いているから、かえって客観的にとらえることができる。歴史を語る時に必要なことが本書ではなされているのである。
まあ、こんな小難しいことをぐだぐだ考えるのではなく、ただ理屈抜きに読んで笑えばいいのだけれど、太田光の「笑い」にはそれだけのものがあるということを言いたかった、ただそれだけ。
(2001年8月7日読了)