白人ばかりがこじんまりと住んでいた北米の田舎町フラートンに元海軍特殊部隊員で少女レイプ犯として刑期を終えたばかりのコウイチ=ハヤシが移住してくる。フラートンの住民は彼が東洋系の人間で犯罪者というだけで排斥運動を始める。しかし、レイプ未遂の被害者で男性恐怖症のルシール=ロイドは恐怖症を克服するためにハヤシに接近する。町中が騒然としている中、突如ロボットスーツを着たエイリアンが現れ、レーザー銃で人々を虐殺していく。町はドーム型のバリヤーで覆われ、米軍もなすすべがない。侵略者の目的は何か。そしてこのサバイバル・ゲームを生き残るものは誰か……。
パニック小説としては非常に面白い。危機に陥った人間のエゴ丸出しの行為や排斥される主人公の危機に対する行動など、読み手をぐいぐいと引きつけていく。
ただ、登場人物の差別意識が誰もかも同じ形をとって現れたり、侵略者が住民を虐殺する理由が予想通りのものだったりする点など、全体に平板な印象が残ってしまった。全体を読み終えて再び読み返してみると、序章で本書のテーマ全てが言い表されていて残りのストーリーはつけたしという感じになってしまっているのだ。
本書はH・G・ウェルズ「宇宙戦争」のカリカチュアとして読むと興味深く面白い。しかし、オリジナルな侵略SFとして読むと、そのパニック小説の部分の面白さを除いてしまえば、なにか食い足りないところがあると私は感じた。SFの面白さの一つである価値観の転換を読み手に訴えるところまでいっていないのである。
SFをモチーフにしたパニック小説ということでは十分に楽しめるのは確かなのだが。
(2001年9月26日読了)