江戸時代の食生活を滝沢馬琴の日記から再現する「馬琴の食卓」、『野菜涅槃図』という釈迦の入滅を野菜で見立てた面白い絵をテーマに18世紀後半に流通していた京野菜を探る「若冲『野菜涅槃図』を読む」、砂糖が一般的になる以前に日本ではどのような甘味料が使われてきたかを文献から探り出す「近世以前の日本の甘味料」など、食べ物に関するエッセイや研究を一冊にまとめたもの。
発表された媒体がバラエティに富んでいるため、本書一冊ではいささか散漫な感じがする。かなり専門的な考証と自分が幼いころに食べたものの思い出を一冊にまとめるというのは無理があるように思う。
ただ、さういった点を除けば、それぞれの文章は示唆に富み、われわれの食生活が古代から現代に至るまでいかに変貌しているかを知ることはできる。エッセイの並べ方が書かれている内容を時代順に並べてくれていたら、そのへんかのあり方がもう少しわかりやすくなると思うのだが、そのあたり、配列を決める時にどのようなことを意図していたのか、よくわからない。
文献をたんねんにあたっているのでそれぞれの内容の信頼度は高いように思われる。著者の「食文化」へのなみなみならぬ関心がうかがえて、そこも楽しい。歴史小説を読む時などの参考にもなる一冊である。
(2001年12月14日読了)