読書感想文


究極! クラシックのツボ
許光俊編著
青弓社
2002年1月15日第1刷
定価1600円

 毎度おなじみ、シニカルにラディカルに、そしてコンサバティヴにクラシックを楽しもうというオタクなクラシックファン向けのガイドブックであります。であるからして、初心者が本書を読んではいけない。絶対にクラシック頭でっかちになってしまうから。クラシックにハマってCDを買い集め、コンサートに行きまくったけど、「音楽の友」や「レコード芸術」に書かれていることに疑いの目をもちはじめたけど、「音楽現代」などに書かれていることはちょっとわかりにくいなあなんて感じている人にはお薦めかも。
 クラシック全般の知識や作曲家、演奏家、オペラ、コンサートホール、CDなどの項目に分かれていて、許光俊をはじめ、鈴木淳史、平林直哉ら若い世代の論客が好き勝手なことを書いている。もちろん、それはクラシックおたくの代弁であったりするわけで、読んでいて爽快になることは間違いない。
 ただ、青弓社から立て続けに出ている許光俊のこれまでのクラシック本とどれだけ差別化されているかというと、内容的には大きい変化はない。ただ、まるで初心者向けというような体裁で作られているあたり、編集意図の邪悪さがすけて見えている。その違いは大きいかも。
 まあ、クラシックを聴きながらなんとなく閉息感を味わってるような人には効き目はあるだろう。できれば大量のCDを聴いたあとで本書を読んで書き手にツッコミを入れるというのが正しい読み方かもしれません。
 要はつまり自分の好きな音楽を聴いて楽しんだり感動したりすればいいのであって、本書はそれにスパイスをふりかける役割をしているということだ。このスパイス、なかなか強烈ではあるのだけれど。

(2002年3月20日読了)


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