ベストセラーシリーズの柳田理科雄『空想科学読本』(メディアファクトリーほか)を俎上に乗せ、シリーズで柳田氏が行っている「科学考証」のいいかげんさを検証する。
ここで著者が行っていることは、単に科学考証の杜撰さをあげつらうだけではない。「科学考証」と称して柳田氏がSFを笑い者にしているという行為に対する怒りが、本書にはこめられている。「空想科学」とは、ありそうにないことについていかにリアリティを持たせるか、そこに楽しみがある。その楽しみもわからないにもかかわらずもっともらしく「考証」しながらSFそのものを馬鹿にしているような柳田氏の姿勢に向けられた怒りなのである。
私は、『空想科学読本』の1冊目を読んだ時に「空想に対する愛のない人だなあ」という感想を持ったことを思い出した。むろん、第2冊目以降は読もうという気にはならなかった。そんなものを読むよりも、もっと読みたい本がたくさんあるからである。
しかし、著者は違う。「空想科学」を愛するが故にあえてそのシリーズをじっくりと読みこみ、そして徹底的な検証を行い批判し、それによって「空想科学」の本当の楽しさを多くの人に知ってもらおうとしているのだ。
だから、本書は著者が「と学会」の本で見せる遊び心はないといっていい。ここにあるのは真剣にSFの面白さを説こうとする闘志なのである。SFファンとして、ここまでやってくれた著者に対して快哉を叫びたい。
(2002年5月17日読了)