「鉄腕アトム」「機動戦士ガンダム」「風の谷のナウシカ」などなどSFアニメに使われているアイデアを題材に、科学をわかりやすく解説している。中心は天文学だが、物理学やナノマシンまでその話題は多岐にわたる。
著者のSFとアニメへの愛情がまずあり、たとえ「科学的におかしい」と思われるものであっても、「空想科学読本」のようにあげ足を取るのではなく、なんとか科学的な説明に結びつけようとするところなど、涙が出そうになるほど嬉しい。もっとも、科学解説がメインの本なので、アニメの話題から強引に科学の話にもっていったりするところがあったりはするが、空想と科学のバランスをよくわかって書いているので、それはそれでご愛嬌という感じではある。
単行本は「SFアニメを天文する」というタイトルで10年前に出たものだが、そこに新たな章を付け加え、この10年に変化したことも加筆してある。しかし、内容は古びているというわけではない。とりあげているSFアニメがポピュラーなもので、科学的な話題も基本的なところを抑えているからだろう。
SFを読み始めた人にはうってつけの科学入門書。平易で、なおかつ楽しい。なによりも著者が執筆を楽しんでいるのがひしひしと感じられて、そこが魅力なのである。
(2002年6月16日読了)