日本国憲法の成立のいきさつや、マッカーサー試案、英文憲法などを紹介しながら、日本国憲法がかかえている問題を明らかにしていく試み。例えば、改憲というとすぐに第9条が焦点になるが、その前にちゃんと改めておかなければならない欠陥(参議院には総選挙はないのに天皇の国事行為に「国会議員の総選挙の施行を公示すること」や内閣総理大臣は国会議員による選挙でなくても国会で決めることができてしまうことなど)を提示し、そのようなミスがなぜ起こったかまで解説する。
何かを解読しようとする時、その背景になったものや成立の過程を知っておくのは当然である。しかし、こと憲法になると、無条件に賛否を問うような極端な論議がなされたりする実情がある。そういう意味で、本書のように平易な書き方で解説されたものがあると、憲法というものに対する考え方をまとめやすい。
憲法について深く知りたい人、あるいは憲法をこれから学習しようとする人にお薦めしたいかっこうの入門書である。
(2002年6月22日読了)