本書は哲学の入門書として従来のような年代順の哲学史よりも、より効果的に理解できる記述を目指したものである。まずフッサールとデカルトから説きはじめ「意味」というものを作っていく過程を明らかにする。ついでソクラテス、プラトン、アリストテレス、ヘーゲル、マルクスのそれぞれの弁証法を比較して、「意味」を解読する方法をたどっていく。さらにアリストテレス、カント、ヴィトゲンシュタインを通して「意味」を表現する論理について見ていき、キリスト教との関係をカント、ライプニッツらの哲学から探るのである。
こう書くと、わかりやすく哲学史を俯瞰しているということになるのだが、本書はなかなか歯ごたえがある。著者はかなりかみくだいて書いているのだろうが、それでも哲学独特の用語用法を十分理解していないと、哲学の本質にふれるところまではいかない、そういう感じなのだ。
そういう意味では、本書は一通り従来の哲学を学びある程度理解した上でその知識を整理するのに役にたつのだと思う。私の場合はかなり時間をかけて読み解こうとしたのだが、まだまだ理解し切れたかどうか自信がないのだが。
(2002年8月23日読了)