カウンセラーの著者が、最近の相談傾向から男の寂しさ、女の元気さを強く感じ、その原因を考察している。男性の持つプライドの高さと現実のギャップ、そしてそれを受け入れられず、コミュニケーション不全になっていく様子などがここでは紹介されている。
著者は、まず自分をちゃんと見つめて受け入れるようにすすめる。その上で、自分らしい生き方を見つけ自信を持って生きようと励ます。
つまり本書は読むカウンセリングなのである。著者はプライドが邪魔をしてカウンセリングを受けられない男たちに対して本という形でカウンセリングをしようとしているのだろう。
ただ、本書を読んだだけでは、そう簡単にプライドを捨てて自己を受容し、自立した個人として生きるなどという芸当はできはしまい。著者の真意は、本書を読んでなんとか「さみしい男」から脱却しようという意志を持った読者に実際にカウンセリングを受けさせようと、そういうあたりにあるのではないだろうか。
そう思って本書を読み返すと、タイトルのつけ方といい、目次の見出しといい、実に工夫されているなあと感じる。著者が狙う層が読みたくなるようなものになっているのである。もっとも、私にはこういう人生の指南書というのはメッセージがストレートすぎてちょっと気恥ずかしく思えるのだけれど。
(2002年8月24日読了)