桂米朝師匠の落語全集をテーマ別に再編集し、文庫化したもの。上方落語の速記本が文庫化されること自体が珍しく、できれば五代目松鶴による「上方落語」(講談社)や三田純市編の「落語名人大全」(講談社)なども続けて文庫化してほしいものである。
本巻は季節感のある落語が収録されていて、「けんげしゃ茶屋」「正月丁稚」「池田の猪買い」「貧乏花見」「百年目」「愛宕山」「千両みかん」「蛇含草」「まめだ」「かけとり」「風の神送り」と正月から年の瀬までバランスよく配列されている。
ラインナップを見て思ったのは、現行CDの米朝全集に収録されていない落語がかなり高い割合で収録されているということだ。また、実際の高座をライヴ録音したためにカットするか変えなければならない箇所もきちんと残されているというところもポイントか。
創元社版の全集が入手しにくくなっている現在、こうやって文庫という形で出版されたことに大きな意味があると思う。ちくま文庫は落語の速記本を積極的に刊行しているのはすばらしいけれど、東京落語ばかりで上方落語は桂枝雀師のエッセイくらいしか出てなかったのを残念に思っていたのだが、これで少しは渇を癒すことができたといえる。
(2002年9月28日読了)