読書感想文


不思議な国のクラシック日本人のためのクラシック音楽入門
鈴木淳史著
青弓社
2002年12月4日第1刷
定価1600円

 著者は「クラシック音楽」を「エロなオレ様音楽」だと喝破する。そして、日本文化を「ボクらみんな日本人じゃ〜ん仲良しあるね」文化と断定する。この二つの文化は決してあい入れるものではないが、日本人は「エロなオレ様音楽」を「仲良しあるね音楽」と変質させてしまうことで受容してきたとする。そして、クラシック音楽は異文化の音楽であることを自覚することが大事なのであって、それができればあとはクラシック音楽を聴くのも聴かないのも個人の好き嫌いの問題と読者に丸投げしてしまう。
 いや、まいった。クラシック入門と銘打ちながら、聴くべき名曲や演奏家など一切例示せず、ひたすらクラシック音楽を受容する方法について論じているのだ。現代の日本文花への強烈な批判も含めて。文体もかなり意識してくだけたものにしているわけだが、内容は全く正反対。これほどヘヴィーな音楽論はないぞ。いや、まいった。
 ところで、私は本書を「エロなオレ様」を爆発させたベルリオーズの「幻想交響曲」をかけながら読んだ。他の人は真似しなくてもよろしいが、一番「エロなオレ様」度が高いのは(たぶん)マルケヴィチが指揮したラムルー管の録音でしょう。そういうことがわかっただけでも値打ちのある本である。

(2002年12月18日読了)


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