河口に浮かんだ廃虚島に集まった少年たちの世界〈ネバーランド〉。そこは十八歳以上の者は住むことを許されない場所だ。彼らは常にドラッグを摂取し、現実と幻影が交錯する世界を生きている。彼らはドラッグの実験体という意味の〈マウス〉と呼ばれていた。様々な力を持った彼らの生活や戦い、〈ネバーランド〉に渡った子どもを取り返そうとする親、自ら〈ネバーランド〉に行こうとする少女とそれを妨害する大人、そして、その役割は果たしたとして〈ネバーランド〉を閉じようとする企業と少年たちとの最後の戦い……。
現実と幻影のあわいに生まれる確実な「何か」を求める少年たちを活写した傑作。いや、少年たちは確実なものなど求めてはいないのかもしれない。自分の目の前に見えるものに対し、刹那的に快楽を求め、そして最後まで生き抜こうとする。本書は危うくもろい「現実」への宣戦布告なのかもしれない。大人になれないまま齢を経たものに対して、「世間」は厳しい視線を投げかける。しかし、本書で著者はものわかりのよすぎる「大人」に対する疑義を提示する。そのようなものになることに何の価値をも認めていないかのように。
それは、SFという表現方法を選んだ者だからこそ訴えることができるテーマなのかもしれない。
今回、久しぶりに再読して、本書はやはり作者のSFにおける最高傑作ではないかと感じた。SF大賞を得た「傀儡后」は、本書のテーマを手のこんだやり方で再び問い直したものなのではないか、とも。ストレートに問いかけられている分だけ、本書の方が胸にずしんと応えてくるのである。
(2003年1月5日読了)