読書感想文


NHK連続人形劇のすべて
池田憲章・伊藤秀明編著
エンターブレイン
2003年4月30日第1刷
定価2800円

 「テレビ天助漫遊記」からはじまって、「平家物語」にいたるNHK総合テレビで放送された連続人形劇のデータや写真を、関係者の証言などもまじえて構成したムック。
 これまで、アニメや特撮に関してはこうしたムックは多く出ているが、NHK人形劇のムックはこれが意外にも初めて。おそらく、資料が散逸していたりフィルムそのものが存在していなかったりで、全体像を把握できる作品が少なかったからだろう。
 そういう意味では、本書は実に画期的なものである。NHK連続人形劇が多くの人々に親しまれていたからこそ、編著者たちも本書のために散逸した資料を発掘し、一冊にまとめる努力ができたのだと思う。
 それにしても、これだけ多くの人々に愛され親しまれた人形劇をフィルム撮りにしておかなかったのだろう。辛うじて何本かビデオが残っている「新八犬伝」など幸せな方で、「猫ジャラ市の11人」になると現皇太子がNHk放送センターを訪問した際のニュースフィルムと関連フィルムしか残っておらず、人形のスチール写真も「グラフNHK」に掲載された特集記事くらいしかないのだという。
 だからこそ、ここにまとめられた資料は貴重なものである。関係者各位の熱意に敬意を評したい。

(2003年4月29日読了)


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