阪神タイガースの監督を3度にわたってつとめ、18年前には日本一に輝いた著者による、「私的」タイガース史。自伝的な要素も兼ねている。
タイガースに入団した経緯。藤村監督排斥運動。藤本監督のもとでの2度の優勝。村山監督誕生と自身の引退。1度目の監督の時の失敗。2度目の監督の時の
天国と地獄。フランスから帰国してすぐの3度目の監督就任とその結末。そして、2003年の星野監督によるタイガース優勝の理由に対する分析。
現場にいなければわからない事情がわかりやすくコンパクトにまとめられているだけでなく、例えば1度目の監督の時と2度目の監督の時の掛布選手の野球に
対する姿勢の変化からみるタイガースにはびこる甘えの構造の指摘など、これまでの著者の著書では語られなかったことも含まれている。
内容的には、これまで私が読んできた数々のタイガース史の本と大きな差はない。しかし、ところどころに見える著者の本音が実に面白い。また、今シーズン
からタイガースファンになった人が読めば、タイガースに関する知識がきっちりと入るという利点もある。この時期を狙って出版されたということは、そのよう
な読者を意識したコンセプトがあったと考えてよいだろう。
江夏との確執などは、江夏の伝記である川上健一の「サウスポー魂」や江夏の自伝あたりと読み比べると、なお興味深いものとなるだろう。
(2003年9月21日読了)