読書感想文


睡眠時無呼吸症候群
安間文彦著
文春新書
2003年9月20日第1刷
定価680円

 ひどいいびきをかく。昼間にうつらうつらする。肥満傾向にある。酒を飲んで寝る。鼻炎で鼻がつまりやすい。こういうキーワードのあてはまる人は、 要注意である。なぜなら、「睡眠時無呼吸症候群」である可能性が高いからだ。この症候群は、新幹線運転手が起こした居眠り運転で一気に知名度が上がった。 事故の危険性を取り除くため、鉄道会社などでは定期的に検査を行うことにしたとも聞く。
 本書は、この「睡眠時無呼吸症候群」についてわかりやすく解説したものである。また、この病気について知るために、睡眠そのもののメカニズムについても かなりやさしく説明している。人間が眠っている間に体でどのようなことが起こっているか、実によくわかる。
 この症状がもたらすものは、居眠りによる事故だけではない。高血圧、脳梗塞など、生活習慣病の原因となる場合もあるというのだ。なぜそうなるかについて も、著者はていねいに教えてくれている。
 ところで、私の場合、上記のうち「酒を飲んで寝る」以外があてはまる。そして、妻によるといびきが途中で止まると、呼吸もしばらく止まるという。著者に よると、呼吸が再開する際に一度覚醒しているのだという。ただ、すぐに入眠するから覚醒したことを記憶していないだけなのだそうだ。そうなると、睡眠に よって取れるストレスもとれず、逆に呼吸不全のために起こるストレスがさらにたまっていくという。
 著者はこのようなキーワードにあてはまる人は専門医の治療を受けなければならないと主張する。本書の説明を読めば、全くその通りだと思う。ただ、問題は この症状が働き盛りの男性に多いということで、医者に行く時間をどうやって捻出するか、そこに問題がなくはない。もっとも、著者にそこまでめんどうを見る 責任はないわけで、自分がいかに自覚するかの問題ではあろう。
 私にとっては、自分の体についていろいろと考えさせられた一冊であったし、また、睡眠というものについての知識を数多く得ることのできるものでもあっ た。
 上記のキーワードがあてはまる方、本書は必読ですよ。

 (2003年10月2日読了)


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