読書感想文


 命を懸けたV達成への647日
星野仙一著
角川書店
2003年10月5日第1刷
定価1300円

 阪神タイガースを18年ぶりの優勝に導いた星野監督による、指導者論。目標を見失った集団をどのようにまとめ上げていくかを、自身の体験をもとに 語る。
 2003年、タイガースはリーグ優勝をした。9年連続Bクラス、4年連続最下位のチームに染みついた敗北者たちに対して、いかにして目標を具体的に提示 し、あるいは人気球団ゆえの勘違いをどのように払拭していくか。著者のとった「改革」の手法は、本書では「特別なことをしていない」と語られる。が、本書 をよく読むと、著者はやはりかなり思い切った手を打っているのだ。「当たり前のことをした」というが、その「当たり前のこと」をできないものの方が多数な のである。
 本書は経営者や指導者をかなり意識した内容になっている。それは著者が指導者という立場の人間であるから当然なのだとも考えられるが、編集者の狙う読者 層がまさにそこらあたりにあるというように感じられるのだ。そういう意味では、タイガースファンが喜ぶ内幕の話などが極力抑えられているのもやはり当たり 前ということになるのだろう。
 だから、本書を読むと、例えばこれを学級担任がクラス運営に応用したいと考えたりもするだろう。しかし、あくまでも参考にとどめておくべきだと思う。な ぜならば、著者は星野仙一であるが、読者は星野仙一ではないからなのだ。そこをわきまえた上で読めば、指導をするということはどういうことかということの 数ある回答の一つとして興味深いものに仕上がった一冊といえるだろう。

 (2003年10月9日読了)


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