本書は、タイトル通り、「分かりやすい表現」をするための方法を、分かりやすく書いたものである。巷にあふれる「分かりにくい表現」を具体的に例示し、それをどのように改善すれば「分かりやすく」なるかを示している。
著者によると、ポイントは16ある。それをまた分かりやすく分類すると以下のようになる。
1.「受け手」の反応を常に考える。
2.重要なポイントを目立つように示す。枝葉末節は切る。
3.具体的に示す。
4.情報を示す順番と重要度をはっきりさせる。
情報や知識は、分かっているものの立場で書くと、読み手には逆に伝わりにくい。分かっているものが、分かっていない者の事を考えること、つまりはそれに尽きると、著者は書く。
私は、生徒にいかにプレゼンテーションをうまく行うかを教えるために、本書を参考資料として読んだ。そして、自分がいかに分かりにくい情報発信をしていたか、気づかされた。プレゼンテーションが下手だと自覚している人も、うまいと錯覚している人も、本書を読むべきだろう。
まことに実用的な本である。あまりに実用的すぎてブルーバックスらしくないのである。こういうのは「+α新書」で出したらもっと売れるのではないかと思う。
(2003年12月10日読了)