読書感想文


Dr.アンダーソンの休日
出張はラビリンス
都築由浩著
角川スニーカー文庫
2004年5月1日第1刷
定価590円

 異星生物学者のアンダーソン博士は、テラフォーミングされる前の惑星を調査するという仕事を請け負う。テラフォーミングが活発に行われる中で、その星特有の生物が次々と絶滅していくのを少しでも防ごうという使命感を持っている。今回の惑星では、なんと知的生命体が残した遺跡があるという。なんとか保護したいと調査に向かう博士だったが、彼の講義を受けている大学生のリディアが強引に密航までして彼についてくる。彼女ははるか年上の博士に恋をしているのだ。そんな2人を襲う謎の一団。惑星で出迎えていたのは美貌の惑星物理学者ブレンダ。彼女もアンダーソン博士に気がある様子。早速調査をはじめた博士一行を追う傭兵たちは、有線連絡機のケーブルを切断し、博士たちと外界との連絡を遮断してしまう。博士は知的生命体の遺跡を守ることができるのだろうか。
 アンダーソン博士は、映画「レイダース 失われた聖櫃」の主人公、インディアナ・ジョーンズを彷佛とさせるキャラクター。ただし、宝探しが主眼ではなく、あくまで異星の生物保護という目的にそって動いている。この異星生物発見と活劇を両立させているところがいい。SFとしての基本線は踏み外さずに、恋ありアクションありのエンターテインメントに仕上げている。
 おそらくシリーズ化を前提としていると思われる。ということは、次作以降はいかにユニークな生物相を創造できるかというアイデアが作品の鍵を握ることになると思われる。ぜひSFならではというアイデアをどんどん投入していってほしいものだ。

(2004年5月8日読了)


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