まずはクイズから。次は大阪府内に実際にある地名や駅名です。正確に読んでみて下さい(正解は一番下に)。
立売堀、靭、住道、放出、毛人谷、杭全、喜連瓜破、遠里小野、彼方、住道矢田、柴島、新喜多、御幣島、野江内代……。
さて、このように、大阪に住んでいても読めない地名が山のようにある。地名とは、その土地の来歴を記していたり、地形を記していたりと非常に面白い。本書は上記のような比較的有名な難読地名はもちろんのこと、地元の人しか知らないであろうと思われるような地名まで、大阪府内全ての市町村を網羅し、その名前の由来を解きおこしたものである。むろん、全ての地名の由来が明らかになるとは限らない。複数の由来が伝わっている地名もある。
面白いのは、多くの地名が飛鳥時代に渡来してきた百済や新羅、高句麗の人々にちなんだものであることだ。大阪には古代、何度か都が置かれている。その際につけられたと思われる地名もある。まさに、大阪は飛鳥時代には朝鮮半島につながる入り口だったのである。
歴史は、遺物や古文書だけで構成されているのではない。現在、私たちが生きているこの瞬間につながっているものなのだ。そして、地名こそは私たちが歴史とつながっていることを示す生きた証言といえるのだ。市町村合併などで古い地名が失われ奇怪な名前がつけられたりするのを見るにつけ、自らの住む土地の歴史を消し去ろうとしているように思われてならないのである。そして、本書にも地名改称で消えていったものや川の埋め立てでなくなったものが多数収録されている。本書は単に難読地名を面白がるという趣向のものではない。難読地名を手がかりに大阪という土地の歴史を探っていく試みなのである。
答 いたちぼり、うつぼ、すみのどう、はなてん、えびたに、くまた、きれうりわり、おりおの、おちかた、すんじやた、くにじま、しぎた、みてじま のえうちんだい
(2004年8月20日読了)