チベットの少年ラマ僧、ミグマは、自分の前世であるシェルパが雪山に登頂しようとして死ぬ夢を繰り返し見る。親代わりのヨンドンラマは、その夢を見ることによってミグマが夢の中に吸い込まれると諭し、そのことについて考えさせないようにする。ヨンドンラマの死後、ミグマは夢に現れた雪山を求めて旅立つが、登山経験のない彼は、途中で力尽きる。彼を助けてくれた老僧、ダンズンの指導により、ミグマは瞑想で夢の世界に行く技を身につける。ミグマは山の向こうのダージリンの町で僧院を訪ね、特別の情報を提供する曼陀羅を見つける。その情報に従って霊を飛ばしたミグマの前に、彼の前世であるナムギャルが現れ、真の世界の姿を見せようと導く。ミグマはやがてナムギャルの目指した山頂を求め、山に慣れるために登山チームの一員となる。しかし、山で彼を悪霊たちが襲った。ミグマは悪霊の、そして山の神の妨害を突破して山頂に行き着くことができるのか。そして、目的地で待ち受けているものは……。
世界を動かしている法則を探り出していこうという野心作。仏教の思想を用いて、その法則のイメージを明確にしようという野心的な試みでもある。さらに、少年の成長物語でもあり、特に度重なる試練に打ち勝とうと様々な手段を使い切り抜けていくあたりから、ラストまでは一気に読ませる。
仏教の思想をうまく折り込みながら世界の全体像を紡ぎだしていく。独自の仏教解釈もみものである。
(2004年11月21日読了)