読書感想文


新選組 「最後の武士」の実像
大石学著
中公新書
2004年11月25日第1刷
定価920円

 本書は、様々な資料をもとに、新選組のおこりと消滅までを時間軸に忠実に追ったものである。真説、俗説、伝説のたぐいも出典を明らかにした上で併記しているので、新選組を扱った小説や映画を楽しむ上でも貴重なガイドブックになるといえるだろう。また、幕末の政治の動きを視野に入れて綴られているので、新選組という団体が歴史上どういう位置にあったか、幕末という激動の時期に新選組が与えた影響などもわかりやすく示されている。
 著者は大河ドラマ「新選組!」の時代考証を担当していたのであるが、ドラマとしてふくらませていた部分が史実ではどうだったのかを、読者に正確に伝えようという意志もあったのかもしれない。
 ただ、そういった性質の本であるだけに、個々の隊士の素顔や思想的な背景などはあえて見えないように書かれているというあたり、新選組の熱狂的なファンや、歴史マニアには物足りないかもしれない。著者の目的は、あくまで虚実様々に描かれている新選組の物語に対して、一定の交通整理をするというところにあるのだろうから、深く掘り下げたものを求めてはいけないのだ。
 歴史を「流れ」としてとらえ、それをなるべく正確に伝えていく。本書はいわば新選組の歴史の教科書的な役割を果たすものなのではないだろうか。

(2005年1月6日読了)


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