読書感想文


脳波と夢
石山陽事著
コロナ社
1994年8月5日第1刷
定価1165円

 脳波について、その仕組み、検査方法、計測結果から得られる情報などについて比較的わかりやすく書かれたもの。
 脳波を計るということが実は非常に微妙な作業であることや、ちょっとしたことで脳波が変化すること、脳波検査にまつわる苦労話などがよくわかる。ただ、本書のタイトルや前書きでは脳波と夢の関係がくわしく書かれているように思われたが、それに関してはレム睡眠時の脳波について説明したところで申し訳程度に触れているだけである。
 私は夢について科学的な所見やメカニズムを知りたくて購入したのだが、その点に関してはなにやら裏切られたような気分になってしまった。インターネットの書店でタイトルだけ見て買うとこうなる。それはともかく、なぜこのようなタイトルにしたのだろうか。脳波検査の未来に託す著者の夢ということなのだろうか。それならば紛らわしいタイトルである。タイトルのつけ方に問題があるのではないか。
 もちろん、脳波についてはいろいろと勉強になったし、参考になる部分も少なくない。かなり専門的なことを書きながら、ところどころに著者の率直な感想が混じるのもほほえましい。ただ、科学の解説書としてはどうかという気もするが。

(2005年1月10日読了)


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