大阪に住んでいても、以外の大阪のことは知らんもの。地元の人間なんて、たいていはそういうもの。著者も大阪生れの大阪育ちやけれども、ふとしたことがきっかけで雑誌「大阪人」の編集に関わるまで、実は大阪について何も知らなんだ。そやけど、町を歩いてみたら、古くは難波宮から、新しくは舞洲まで、歴史の息吹を感じさせるものばかり。見たもの聞いたもの全てに興味を持ち、いろいろと調べていくうちに、自分の知らなんだ大阪が見えてくる。大阪の文化って何やろう。大阪弁の書き言葉を作ってみたら、考え方が広がるかもしれへん。
本書は、そんな発見がぎっしり詰まっている。そやけど、これは大阪のガイドブックやない。大阪という土地を新しい目で見直してみたらどう、面白いよ、という誘いかけの本。観光資源は通天閣や大阪城だけやないよ、天神橋筋商店街かて見方を変えたらものすごい観光資源なんやで。そんな問いかけがこの本のいたるところにちりばめられてる。
著者が自分の足で歩き、自分の目で見、自分の耳で聞き、自分の手でさわり、自分の頭で考えたことが、すっと自然に頭に入り込んでくる。見慣れた風景に新しいものを探そうかという気持ちがわいてくる。
タイトルの「大阪人のプライド」とは、そんなプライドは放ってしもうて素直に大阪を発見しようやないの、ともとれるし、大阪ってこんなに楽しい町やねんで、プライドを持とうや、ともとれる。そこらあたりの含蓄の深さが大阪にはあるし、本書はそのエキスみたいなもんやねんな。
(2005年1月24日読了)