メジャーなスポーツに熱狂的なファンがついているのは当然だが、世間であまり知られていないマイナーなスポーツにだって、熱烈なファンはいる。いや、かつてマイナースポーツであった女子サッカーだって、「なでしこジャパン」の活躍以来、一気にメジャーに駆け上がったが、マイナーな時代にだって強烈で個性的な応援団がついていたのだ。本書は、ビリヤード、綱引、チアリーディング、スポーツ吹矢、腕相撲、一輪車、キンボール、セパタクローなどなどどこでそんな競技会をしているのかというようなスポーツの大会を2年間にわたって取材したもの。スポーツ雑誌の連載をまとめたものなので、それぞれの競技会にさかれるページ数はいくぶん少なめではあるが、それぞれの競技にかける競技者たちとそれを応援する人々の熱い連帯感を余すところなく伝えている。
関西出身の著者だけに、例えば西宮競輪などのローカルな話題については特に思い入れも強く、心動かされるものがある。しかし、全体にちょっと突き放した視点で描写されているものが多く、特に取材が進むにつれて、こういったスポーツに関する共通した特徴を見い出してからは、取材の熱が微妙に冷めていくのが読み取れる。著者自身にはそこまでの自覚はないようなのだが。
その特徴としては、観客イコール関係者、選手がフレンドリー、グッズが豊富、選手と観客と主催者の一体感などがあげられている。競技人口が少なく、観客が少ないのだからマイナーなのであるが、その分、競技にかける熱気の濃度が高いというわけだろう。むろん、本書で取材されているマイナースポーツはおそらく氷山の一角なのに違いない。マイナーでもいい、楽しめるものが見つかればいいじゃないか。そう、楽しみは自分で見つけるもの。誰かに与えられるものじゃない。そういう競技者や関係者たちの声が聞こえてくるような気がする。
(2005年1月30日読了)