徳島で「レディースクリニック」を開いている夫人科医による、中高生向けの性に関するQ&A集。セックス、避妊、生理、性感染症などの項目に分け、中高生からよく問われる質問を中心に、くわしくかつわかりやすく説明をしている。
したがって、性に関する知識に乏しく、いろいろなことで悩んでいる青少年にとっては非常によいガイドブックであるといえる。
ただ、読み物としての面白さという点については別で、これは著者が文筆家ではないから仕方ないことなのかもしれないけれど、いかにも医者が懇切丁寧に説明しているという感じになってしまっているのは、この新書シリーズらしくないように思う。
例えば、本書の医師による視点からは、なぜ大人はセックスしたがるのか、誰彼なしにセックスすることが精神的にどういう意味を持つのかなどというところが欠け落ちている。そうなると、大人がしたり顔して説教をしているというトーンにどうしてもなってしまう。中高生の視点で語られていないと、対象となっている読者層も、書かれていることを素直に受け取れるかどうか。
著者と作家がタッグを組んで書くというようなことはできなかったのだろうか。そうすれば、この新書シリーズにふさわしい、より興味深い本になったのではないか。少しもったいないと思うのである。
(2005年3月24日読了)