ローマ帝国の始まりから隆盛、没落から滅亡までの歴史をコンパクトにまとめた1冊である。しかし、長大な歴史を持つこの帝国について書くには、どうしても紙数が少ないのは仕方ない。予備知識のない者が(この場合は読者対象である中高生になるが)本書をいきなり読んでローマ帝国の概要を理解できるかというと、ちょっと難しいのではないかと思う。むろん、現代の感覚に合わせて説明するなど工夫はしているのだが、ローマ帝国独自の制度などはもう少しくわしく書いてあった方がよかったではないか。執政官だの護民官だのといわれても、その位置付けを想像するのは難しいだろう。
私は「ローマ人の物語」(塩野七生)を読んでいたので、ある程度の基礎知識を持って読んだから、逆に重要事項を整理して提示してくれているところが助かった。そのまま教材として使えるかと思ったのだが、私用の参考書で終りそうな感じですね。
(2005年4月3日読了)