読書感想文


探偵!ナイトスクープ アホの遺伝子
松本修著
ポプラ社
2005年4月22日第1刷
定価1143円

 大阪朝日放送制作の人気番組「探偵!ナイトスクープ」は、どのような発想からうまれ、どのように変遷を重ね、いかにして現在に至っているのか。プロデューサーであり、番組の企画から派生した「全国アホ・バカ分布考」も執筆した著者が、番組の全てを明らかにする。
 企画の骨子は、一文で書いてしまえるのがよいという哲学から、番組初期の模索期、番組の転換となったテロップ入れ、局長交代秘話など、番組に対する思いが全てのページから伝わってくる。
 特に、ディレクターと探偵たちが取材してきたものに対するお互いの批評の激しさや、視聴者参加番組の新しい形をつくりあげたり、他の番組ではできないことをするというポリシーが貫かれていたりといったあたりにプロデューサーとしての著者の誇りがうかがえる。
 阪神淡路大震災の時も、意識して「笑える番組」を作り、被災者たちの気持ちを前向きにさせたというくだりなど、泣けてきそうになった。
 ローカル番組のテレビ制作というものがどのような条件で行われているかということも目に見えるように生き生きと描かれている。質の高い番組作りとはどのようなものなのか。タレントの個性をすり減るまで消費しつづけるようなバラエティ番組作りをしている東京キー局の人間に読ませなければならないと痛切に感じた。
 この番組のファンの方は必読。「ドリャーおじさん」などの名作が蘇る! DVDも発売予定というから、楽しみではないか。

(2005年4月27日読了)


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