欧米では何かを決める時にコイントスをする。東洋ではジャンケンをする。コイントスは裏か表かの二項対立である。ジャンケンは絶対的強者のない三すくみである。コイントスをするにはコインという道具が必要である。ジャンケンは手さえあればよく、道具はいらない。国際的な紛争は、欧米の二者択一の論理で動かされてきた。しかし、これからは東洋の三すくみで動かすべきである。日本、韓国、中国の関係も、ジャンケンのような鼎立関係で見ていかねばならないのである。
著者の主張は、この「三すくみ」に尽きる。西洋的二元論よりも、さらには道具主義よりも、絶対的な強者を作らない「ジャンケン文明」、そして身体主義がいかに優れているかを説く。ジャンケンの歴史をひもとき、さらには今後の国際関係を展望し、ジャンケン的な考え方が世界を救うことになるのだと主張する。
こじつけめいた部分もあり、全てに納得できるわけではないが、何かというと白黒をつけたかるがゆえに戦争を繰り返してきた西洋文明へのアンチテーゼとして、著者の主張それ自体は重要である。
ナショナリズムが陥りがちな「自分たちの国が一番正しい」という強弁は、著者の主張の前には無力であろう。相対的な視点の大切さを「ジャンケン」に仮託して訴える、その姿勢に共感するところは大きい。
(2005年4月30日読了)