読書感想文


プロ野球をここまでダメにした9人
工藤健策著
草思社
2005年5月27日第1刷
定価1300円

 堀内恒夫、清原和博、渡邊恒雄、落合博満、野村克也、イチロー、久万俊二郎、プロ野球選手会、野球評論家のそれぞれを俎上に乗せ、なで斬りにした批評集。たとえばイチローが本当にファンに感動を与える選手であるのかどうか、野村克也が名監督であるのかどうか、落合博満の「オレ流」は身勝手と同義語ではないのかというような、読んでいてはたと手を打つ指摘はある。ただ、だからどうしろというのかという具体的かつ建設的な意見は残念ながら見られない。オーナーたちを斬り、返す刀で選手会を斬る。であるのに、コミッショナーに権限をもたせてはならないといい、今のオーナーの合議制を肯定する。ある程度筋は通っているのだが、立場の異なる者たちを同じ調子で批判するのだから、矛盾が出てくるのは当然だろう。
 プロ野球評論家を批判した文章になると、誰がいつどういう発言をしたのかという具体例を出さずに批判すことにどれだけ意味があるのか疑問に感じさせる。こういう形ではなく、プロ野球全体の問題点を明らかにした上でそれに対する批判をし、ではどうすべきかという具体案を出してほしかった。でなければ、自分が批判した評論家たちに対するのと同じ斬り方で自分も斬られてしまうだろう。
 タイトルにある「ここまで」がどこまでなのかもわからない。プロ野球がどうなってほしいのかが見えてこない。ファンを楽しませるものに、という漠然とした提案では、ここで俎上にあげられた人々はおそらく納得できないのではないだろうか。

(2005年5月28日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る