読書感想文


わが人生のホリプロ いつだって青春
堀威夫著
小学館文庫
2005年7月1日第1刷
定価600円

 スパイダース、和田アキ子、森昌子、山口百恵、石川さゆり、片平なぎさ、榊原郁恵、山瀬まみ、石原さとみ……。そうそうたる歌手やタレントを擁し、芸能プロダクションとしては異例の株式上場公開を果たしたホリプロダクション。その創業者である著者が、若き日のバンドマン時代から、プロダクションの旗揚げ、そして新たなジャンルへの挑戦などを書き綴ったもの。親本が経済書を出版している会社から出ている関係もあって、芸能プロダクションの経営に関して触れた部分が多いのが特徴となっている。
 ホリプロというと、私の印象では、垢抜けない少女を発掘し、様々な分野にチャレンジさせる中で磨きあげていくプロダクションである。それは、著者がバンドマンをしていたという過去と無関係ではないとにらんでいた。本書はそれを裏書きするような内容である。スカウトはあくまで自分たちの目を大切にし、手間をかける。今やスターへの登竜門の代名詞ともなった「ホリプロ・タレント・スカウト・キャラバン」は、「スター誕生」などテレビ番組に新人発掘を頼るのではなく、プロダクションが主体となってダイヤモンドの原石を掘り当てるという試みの嚆矢であった。ここまで大々的なスカウト大会は他のプロダクションではやろうとしなかったものであるし、さらに、それが途切れることなく続いているということにも驚かされる。
 成功者の解雇談であるから、失敗も次の成功への糧として美しく描かれているし、そこらあたりは多少割り引いて読まねばならないと思うが、アイドルのプロデュースという観点から、しかも現場の人間が残した証言としては貴重なもの。ここに、たとえば「タレント・スカウト・キャラバン」の歴代受賞者のリストなど、資料的なものがもう少しあればもっと充実した芸能史の資料となっただろうと思うと、少し残念である。

(2005年6月18日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る