読書感想文


近鉄球団、かく戦えり。
浜田昭八著
日経ビジネス人文庫
2005年7月1日第1刷
定価667円

 2004年限りで消滅してしまったプロ野球の球団「近鉄バファローズ」。著者は、デイリースポーツに入社した直後に「近鉄パールス」の担当となる。チームはその後、「バファロー」、「バファローズ」と名前を変えながら、パ・リーグのお荷物球団から劇的な優勝をするチームへと変貌していった。著者は日本経済新聞に移り、大阪から東京へと住まいを移す。それでも、近鉄というチームから目を離すことができなかった。そして、チームはオリックスに吸収され、消滅してしまう。
 本書は近鉄球団史ではない。近鉄球団の軌跡を追いながら、2リーグ分裂後のプロ野球の流れをたどる。ただし、視点はいつでも近鉄球団からのものとなっている。だから、ジャイアンツの9連覇も、タイガースの日本一も、そこでの盛り上がり方は、常にパ・リーグにスポットが当たらないという事実から、かなり突き放した描き方となっている。
 また、近鉄球団を中心としたトレードやドラフトの裏舞台なども具体的に記述されていて、興味深い。暴露本にならないように、慎重にプロ野球秘史をたどっていく筆致には好感が持てた。
 ひいきチームとファンの関係とはなにか。興行としてのプロ野球の価値は何で決まるのか。いろいろな問題提起をしながら、著者は大胆な球界改革案を提言する。一つの球団が犠牲になった事実を踏まえての提言だけに、重みを感じるのである。
 もっとも、こういうつくりになっているから、近鉄バファローズだけの物語を期待するファンにはあてが外れた感じになってしまうかもしないが。

(2005年7月23日読了)


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