銅版画家の著者が、NHKテレビ製作の「課外授業ようこそ先輩」に出演した時のもようを中心に、子どもたちが自分なりの表現を作り上げていく過程とその作品を紹介していく。その中から、美術作品とはなにか、表現とはなにかという本質的な問いかけに対する答を導きだしていく。
子どものころから本物の芸術に触れさせておくことの大切さ、描きながら自分の表現したいものを見つけていくことや、想像力を発揮していろいろなものに「物語」を見い出していくことの楽しさなどが、実際に書かれた作品や子どもたちの反応を示すことによって生き生きと説かれていく。
どんなものにも驚きがある。発見がある。広がりがある。個性がある。著者が絵画という手法を通じて、読み手に伝えたいのはそういうことなのだ。そして、ものを作り出すことの喜びを特に若い読者に理解してほしいという気持ちも伝わってくるのである。
(2005年8月23日読了)