読書感想文


ちくま文庫解説傑作集
ちくま文庫編集部編
ちくま文庫
2006年3月10日第1刷
非売品

 本書はちくま文庫のキャンペーン賞品として、帯についている券を2枚ハガキに貼って送った人がもれなくもらえるというもの。いわばおまけというようなものではあるが、このおまけがなかなか贅沢なのである。
 過去、ちくま文庫のさまざまな本に付された解説を集めたものである。書き手も赤瀬川原平、阿川弘之、池内紀、大島弓子、大槻ケンヂ、小沢昭一、川本三郎、北方謙三、久世光彦、筒井康隆、鶴見俊輔……とバラエティに飛んでいる上に当代一流のメンバーが揃っている。
 まずふだんなら私が手に取りそうにもないような本の解説ももちろんある。本来なら私の関心の範疇外にあるものであっても、この解説を読むと読みたくなってくる。その本をただ解題しているだけでなく、書き手独自の視点や人生観、人間性までがそこにあらわれている。
 ふりかえってみるに、過去、何冊か文庫の解説を手がけたことが私にもあるわけだが、こんなに魅力的な解説を書けていただろうか。こういう冊子を作った時に収録してみたいと思えるようなものが書けただろうか。そう思うと冷や汗の出る思いである。
 本書におさめられた文章を読むと、本はこういうふうに読むと面白いよという手引きにもなっているように思う。解説とはかくあるべしと感じる。
 よし、次に解説の依頼がきたら、こういうものに収められるようなものを書いてやるぞ、なんて力みかえってはいけないのだ。それよりも、本を手に取る読者のことだけを考えて書かなければいけないのだ。だから、本書は面白いのだ。
 まことに贅沢な「おまけ」である。ここでお薦めしてももう入手できないというのは残念なことだ。

(2006年3月11日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る