読書感想文


つきあいきれない韓国人
渡部昌平著
中公新書ラクレ
2006年3月10日第1刷
定価700円

 著者は在韓日本大使館で厚生労働担当の書記官をつとめていた人物である。大使などと違い、幅広い階級の韓国人と接することで、とまどい、また理解していった経験をうまく項目別にまとめ、平易に書き著している。
 タイトルだけ見ると、韓国人に対する批判の書ととられかねないが、これは「マンガ嫌韓流」などの読者が手にとりやすいようにという出版社側の作戦かもしれない。
 実際は日韓の文化の違いをかなり冷静かつ公平にとりあげたもので、韓国の常識と日本の常識の違いをとりあげることにより、これから韓国人とつきあっていこうとする日本人に対して一定の予備知識を与えようという試みである。
 好き嫌いという感情の問題ではない。文化の違いとは、考え方やものの見方の違いだということをていねいに記すことにより、嫌な部分も含めてちゃんと相手に向き合って接していくべきだという著者の考え方が伝わってくる内容である。
 現地で暮らし、肌で日韓の違いを感じ、その違いを考慮に入れた行動をしないといけないという立場にあった人だからこそここまでていねいかつ冷静にその違いを書くことができたのだと思う。

(2006年4月16日読了)


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