日本語の乱れと呼ばれる問題に関して、フランス文学者である著者は、日本語の構造と長い時間をかけて取り入れていった外来語文化と日本語の関係に着目する。著者の分析では、日本語は助詞を用いることにより容易に外来語を日本語の中に組み入れていくことができた。しかし、漢語や横文字を日本語の中に組み入れた時、なぜか言葉としての実を失ってしまう。一知半解で外来語を使用してしまうケースが多いのだから。
著者は日本語の構造的な問題から発生する言葉の問題については、それを正しく直させることよりも、その構造的問題を受け入れるべきだととく。そして、「翻訳」という作業に目をつけ、様々な外来文化をうまく「翻訳」し、日本語として自分たちの中で消化し、理解していくことが大切だというのである。
表題はかなりきつい書き方になっているけれども、内容は説得力のある独自の日本語論である。海外文学の研究者ならではの結論をそのまま受け入れることはできないが、1つの考え方としては注目に値するのである。
(2006年4月16日読了)