自然科学というものはどのような経緯で現在に至っているのか。定理を考え出した人やそれを証明した人、化石を発掘した人やそれを分類した人、それらはいったいどのような人たちでどのようにして行われてきたのか。何がわかっていて何がわかっていないのか。
630ページを超すこの大著で、著者は非常にわかりやすくかつ興味深く、上記のような疑問について示してくれている。とはいえ、それは頭を使わなくてもすいすい理解できるというものでないのはいうまでもない。
本書を読むと、人間が知っていることなど大自然の全体からいうとほんのわずかでしかないことがわかる。私たちはいわばまだ手がかりをつかみかけたに過ぎないようだ。そのことを理解させるためにこれだけのページ数を費やさなければならないのだから、科学というものの奥深さがわかるというものだ。
本書の面白いところは、科学者たちの物語である。人間が、人間の視点で世界を解明しようとするわけだから、自然と限界はある。そして、科学的な発見や証明の裏に隠されたエピソードの人間臭さときたら、科学というものは実に主観的に解明されてきたのだなあと思わざるを得ない。
一気に読もうとするとかなり頭を使う。読み方としては分野別に日を置いて読み、ひとつの分野について読む時は一気読みをするというのが頭に入りやすいように思う。私はコンディションなどの関係で毎日ちびちび読んだりしていたので、読了するまでに思ったよりも時間がかかってしまった。
(2006年6月18日読了)