京都の夏を彩る祇園祭。その山鉾は動く美術展といわれる。中世から近世のペルシャ織絨毯やタペストリなどが山鉾を飾り、名匠といわれる彫刻家によって掘られた像が見えにくいところにさりげなく配されていたりと、数百年の歴史を物語る逸品がこの祭の期間だけ人目に触れるのである。なんとう贅沢!
本書は、長年祇園祭を撮影し続けてきたカメラマンの美麗な写真と、わかりやすい解説でこの世界有数の祭の魅力を余すところなく伝えてくれる。
おそらく何も知らずに見にいったら必ず見過ごしているであろうと思われる破風飾りだの欄縁金具だの知る人ぞ知る工芸美術の粋も、本書には漏らさず収録されている。また、7月はじめから1ヶ月にわたる祭事とその由来などもふだんは隠れていて見えないところまで紹介している。
宵山のお昼頃に本書を片手に京都の町を歩いてみよう。これまで何度も足を運んでいた祭でも、初めて知る魅力を感じとることができるはずである。
巻末についている年表は、古文書などに記載された祇園祭にかかわることがらを記しているのだが、「応仁の乱により祇園祭が中止となる」だの「蛤御門の変により山鉾町一帯が罹災し、多くの山鉾が焼ける」などという一文に「歴史の重み」を感じてしまうのである。
(2006年7月7日読了)