読書感想文


ハーシーチョコレートの物語 揺れ動くアメリカン・ドリーム
荻田浩著
たる出版
2006年7月7日第1刷
定価1600円

 1900年代はじめ、手作りのキャンディー販売から身を起こしたアメリカ人、ミルトン・ハーシーは、チョコレートの製造販売に転じて成功をおさめる。そして、自らが理想とするハーシー市を作り上げ、孤児院や、身寄りのない子どものための全寮制の学校を設立し、社会に貢献をする。しかし、ミルトンの死後、世界恐慌や軍需用非常食としてのチョコレートの需要など数々の浮沈を繰り返し、近年ではM&Aで勢力をのばしたマーズ社との国際的な競争ではおくれをとっている。ただ、アメリカ国内ではトップの座を保ち続けている。
 本書は、ハーシーチョコレートの物語をベースに、アメリカという国のあり方がどのように変化してきたかを見るという、ユニークな試みである。
 狙いはよいのであるが、著者の文章力にははなはだ問題があり、主語と述語が一致していない文などは当たり前、逆接の接続詞を使用しながら内容は順接であったり、改行すべきでないところを改行したりと、正直なところプロのライターに全面的に書き改めてほしいと思うくらいである。編集者はどうして渡された原稿をそのまま出版したのだろうか。この文章力のなさはなんとかならないものか。
 狙いはよいだけに、ちゃんと文章の書ける人をゴーストライターでも共著でもよいから起用してほしかったと思う。

(2006年8月5日読了)


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